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「…愛、なのか?」
「そうですわ、藤次郎様。
お久しゅう御座います、十年振りでしたでしょうか」
淡々とした口調で言葉を紡ぐ愛姫。
十年前の明るさがすっかり消え去っている。
彼女のあまりの変わりように政宗は言葉を無くした。
「(昔の愛と何かが違う。
あの明るさは一体どこへ行った?)」
政宗がそんな事を考えているとも思っていない愛姫は傍らに居た小十郎へ挨拶をしている。
「お久しゅう御座います、片倉様」
「いえ、此方こそ。
お久しぶりです、愛姫様」
小十郎も小十郎で彼女の変わりように驚いているようだ。
昔の明るさを欠片も残していない今の愛姫。
まるで人ではなく人形ようで生気を全く感じられない。
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