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「…一つ、藤次郎様にお伝えしておかねばならない事が御座います…」
未だ驚いている政宗と小十郎に愛姫はそう言った。
何を伝えたいのだと思っていればソレは当然のように淡々と感情の無い声で紡がれた。
『私は伊達家の人形です。
藤次郎様の望むようにお使い下さい。
私はその為だけ存在でありそれ以上でも以下でもありません。
不要であれば壊すなり捨てるなりお好きなようになさって下さい』
私は貴方様のお人形。
それが私の存在理由、私の生きる意味。
不要であれば壊して下さい。
要らないのであれば捨てて下さい。
私は文句も何も言いません。
持ち主に忠実であるのが人形。
望まれるままに動き利用されるのが人形。
私は人間ではありません。
限りなく人間に近いただの人形です。
貴方様も私をただの人形として見て下さい。
人形には人間として扱われる価値など無いのだから…。
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