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梵天丸と愛が喧嘩をして十年が経った。
まだ十年なのか、もう十年なのか。
梵天丸は元服し、伊達家を継いで伊達政宗になった。
独自の剣術を身に付け奥州を纏め上げ奥州筆頭と呼ばれるまでに成長した。
喧嘩をした後、政宗は愛姫に時々文を送った。
返事のペースは遅いが愛姫から文の返事は返ってきていた。
だが、その返事も六年前を境にふっつりと途切れた。
「元気なんだろうか、アイツは……」
政宗はぽつりとそう呟く。
愛姫から返事が来なくなった後も何度か文は送った。
だが、彼女からの返事は六年間一度も無いまま過ぎた。
政宗が元服してから丁度一年が経った。
その頃、愛姫を正式に正室として迎え入れてはどうかという話が上がった。
周りの者は殆ど納得し、田村に使者を出し愛姫を伊達家に嫁がせるようにと書状を送る。
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