唯一神=オタク

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 アリシアはふふん、と笑って立ち上がった。 (土下座しとけって言ったじゃねーか)  女神は妖しく微笑む。 「しかしどうだろう、拓。 君は生きることに執着しているみたいだからな。条件付きで、仮復活させてもいいのだぞ?」 「仮…復活?」  生き返らせるってことか? 「や、違うぞ。あくまでも仮、だ。仮復活だからな」 「て、言うと?」 「君が普通の生活を続けられるように、身体にプロテクションをかけてやろう。  だが生き返る訳ではない。一度死んだ者は、生き返らんからな」 「なんだよ、回りくどいな。さっさと条件とやらを言ったら?」  アリシアは嬉しそうな顔で「うむ。明瞭だな」と言うと、拓人に向かい、びしっと人差し指を向けた。 「確認しておくが、君は『神様委員会』に入るのだな?」  拓人は面倒くさそうに手をヒラヒラさせる。 「おぉ。また日常に戻れるんならな」 「そうか。うむ、安心したぞ」  言いながらアリシアは嬉しそうに頷いた。 「条件と言っても、まあ一つだけだが。  君は『生者』の前に『神様委員会員』だという事を忘れるな。  生者としての生活の中、いつ如何なる時も、こちら側からの呼び出しには直ぐに応えること。それだけだ」 「ん。りょーかい」 「如何なる時も、だぞ。 例え母御が出産しそうでも、例え親友の臨終の際でもだ」 「それは聞きかねる」 「破ったら…仮復活のプロテクションが解けるだけだ。  皆の見ている前で君は、白骨死体になる。…ショックで母御が流産するかもな?」 「なんで俺の母さんの妊娠知ってんだよ」  …あ。そういえばこいつ、神様だったな。 とんでもねぇ神がいたもんだ。 「…で?それだけか?」 「おおともさ。それだけだ」  アリシアはにっこり微笑むと、次は『神様委員会』の仕事の説明をする、と言った。
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