唯一神=オタク

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「君は神様委員会の正式名称を知っているか?」  問われて拓人は記憶を探る。 「確か…『次世代唯一神選抜委員会』…とか言ってなかったか?」  拓人の回答に、アリシアは満足そうに微笑む。 「うむ。いい記憶力だ。さすがはノーベル賞未遂。 いやあ、本当に惜しいことをした」 「誰のせいだよ、誰の」 「さて、話を戻すが。」  アリシアはちらりと拓人の背後に控えたマリアを見る。 「マリアからある程度の話しは聞いておるな?」 「ああ。あんたの次の代の神様を決めるんだろ?」  拓人は一刻も早く変えたほうがいいのでは、と思ったが、とりあえず黙っておいた。  アリシアは言う。 「その通り。 では拓。君はどうやって神を選出するか、知っているか?」  拓人は首を横に振る。 アリシアはそれを見て、少しホッとした顔をした。 「うむ。そうだな。そこまで知られていてしまうと、私が説明する事が無くなってしまうものな」  コホン、と咳払いをして先を続ける。 「まぁ言葉の通りなのだが…この度、私の次の代を決める『第1837回神様決定戦』が開かれる。  戦ったり、というのは美しく無いから、あらゆる能力を試す試験のような形式で進めて行く予定だ。 ……実際には進行上、どうしても争いは避けられんがな。」 「各地から集まった優秀な霊だか人だかが、神様の座を奪い合う、という事か」 「その通り。そしてそこで、君たちの出番、というわけだ。  『大会』と銘打っている訳だから、当然、実行委員が必要だろう?」 どの立場の選手にも公平に接する。 それが実行委員だ。 「なるほど、ね。 …どこにも属せない中間の存在の「俺たち」が、適任ってわけだ」  アリシアは済まなさそうに、うん、と頷いた。
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