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「――なあ聞いてるか?拓」
月曜日。
いつもの教室。
自分に話しかけてくる、いつもと同じ親友の顔。
「ん。ああ…何、高」
本当にいつも通りだ。
「いや、だからさあ。二組の幸子ちゃん、いるじゃん。
あの子が拓に、『放課後、屋上に来て』って伝えて欲しいって言ってたぞ」
「何で」
「何って…普通こういう場合、告白だろ」
高は「ちぇ、美形はいいねー」と言って、頬を膨らませた。
「行ってやれよ、屋上。
幸子ちゃん、学校一の美少女だぞ」
「うん…まあ、用事が出来なかったら」
「なんだよそれー
幸子ちゃん可哀想だぞ」
その時。
拓人の携帯が「ぴりりり」と鳴った。
拓人は画面を覗きこみ、「げっ」と言って立ち上がる。
「わりい、高。俺中庸できたわ。帰るからよろしく言っといて!」
カバンを片付け、慌てて飛び出して行く。
「拓?おーい、幸子ちゃんどうすんだー。あと『中庸』じゃなくて『急用』な」
いつもの突っ込みを入れる高を華麗に無視し、拓人は階段を駆け降りる。
「30秒で集合とか、まじねぇから!」
『神様委員会員呼び出し告知』と書かれた携帯を握りしめ、拓人は非日常へと急ぎ行く。
――第2話・END
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