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「……で、今回は何の用だよ」
広い神様専用の仕事部屋に、不機嫌そうな拓人の声がひびいた。
神であるアリシアは机に上半身を預け、頭を抱えている。
「それがなあ、拓よ…。
マリアの奴が、私の小遣いを減らしたのだ」
その言葉を受けて、拓人は心底面倒くさそうに眉をひそめた。
「へぇ…神様にも、小遣いとかあるんだ…ふーん…。
で、何で俺を呼び出した?」
「へ?いや、その……誰かに愚痴りたくて…」
アリシアは口ごもる。
拓人はそんなアリシアの机にバシン、と手をついた。
「へえ?いいご身分だな。
つまり俺は、お前のパシりか」
「いや、そういう訳では」
実際は、拓人はアリシア直属の部下。つまり突き詰めて言ってしまえば、パシりなのだが。
しかしアリシアは拓人たち『神様委員会』に、それはそれは甘いのである。
拓人は言い連ねる。
「そんなことでいちいち呼び出すな!大体、俺がお前の味方すると思ってんのか?」
拓人の言葉に、アリシアはつい、と口を尖らせた。
「……だって…誰も私に味方してくれなかったのだもの」
拓人が呆れてため息をつこうとした時だった。
バン!
突然、仕事部屋の無駄に豪華絢爛な扉が開いた。
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