神様委員会=脇役

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 少女は拓人を見付けると、嬉しそうに近付いてきた。 勿論、拓人も少女も浮いているので、歩く時もフワッフワッと言った感じである。  拓人のもとに辿り着くと、少女はペコリと頭を下げた。 「はじめまして。私は天界から派遣された、『次世代唯一選抜委員会』…通称、『神様委員会』第三班班長、マリア・メデリューンと申します。  つきましては、『第1837回神様決定戦』の実行委員会としてのお話に参りました。」 マリアは深々と頭を下げた。  突然の自己紹介に拓人は戸惑う。が、まずはマリアの言葉の意味を考えることにした。 「えーと…マリアさん?は天界から来た天使…で、多分俺を迎えに来て……あれ?『次世代唯一神』ってなんだ?神様の代替わりか?  それで、その代替えの実行委員会のお偉いさんが俺のとこに来た…と。」  そこまで思って、拓人は一つの可能性を感じた。 小説とかでは大抵の場合、主人公はその『神様決定戦』とやらに出ることになるのだ。 「…それって、俺に神様になれって言いに来たってことですか」  真剣な口調で切り出した。 しかしマリアはきょとんとしているばかりだ。 「あの…勘違いされてるようですが…」  そこでマリアは言葉を切る。 どう言ったものか、と考えているようだ。  暫くしてからマリアは拓人に向き直った。 「私がここに来たのは、確かに貴方を迎えに来たのですが、…目的は、貴方を神様にすることじゃなく、近いうちに開かれる『神様決定戦』の実行委員に選ばれた、とお伝えすることです。」 つまり、と人差し指を立てる。 「おめでとうございます♪ 『神様委員会』NO.14、南三原タクト。 あなたは誉れ高いこの大会の――この世の唯一神を決める、『第1837回神様決定戦』の実行委員に選ばれました!」 マリアは満面の笑みを浮かべた。
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