神様委員会=脇役

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「先程申し上げた通り、神様はこの世の全てをお一人で決めていかれます。  ですので人の一生も、本来神様が立てた筋書きに添う形になります。 ……ですが、貴方の場合、と言うより、『私たちの』場合… 神様が、何らかの理由で途中までしか筋書きを立ててくれなかったのですよ」 「……は?」 「人の一生は、神様の持つ、『らいふわーく』という本に記されています。  その本には、一人の人が、産まれてから死ぬまでの間、何が起こるか全て記されているのですが、それはオギャアと産声をあげた瞬間に、神様がその人の一生分のプランを決めるからなんです。」 でもね、とマリアは言葉を切る。 「私たち『神様委員会』の者たちは皆、そのプランが 、、、、、、、、、、、、、 途中までしか書かれていないんです。」 「途中までしか…書かれて、いない?」 マリアはコクンと頷く。 「途中までしか書かれていないから…その分まで進んだら、もう存在出来ないんです」 「……死ぬってことか?」 「おおむね正解ですが、少し違います。そこから先は存在していないんだから…『死ぬ』ということに関しても、不完全なんです」  存在していないから。  もとから無いものは、消えることすら、出来ない。 「つまり俺は…『俺たち』は、成仏することも出来ないのか…」 「そうなりますね」 マリアは平淡に、切り返した。
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