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気が付けば、朝だった。
カーテンの隙間から淡い光が差し込んでいる。
見慣れた自分の部屋とは違う、その場所独特の白い床と天井がにわかに現実を呼び覚ます。
「あ…あれ?」
(――ここ、病院…か?)
自分は確か頭を打って、天使もどきに会って、もう助からない、と言われて…それで……それで?
(――夢…だった、のか?)
そう思い、ベッドから起き上がる。
…ちゃんと足も、あるな。いや、あの時もちゃんとあったけど。
そんな事を考えていると、病室のドアが勢いよく開いた。息を切らした高校生が立っている。
……幼馴染みの高浪だ。
「拓ーーーーーー!」
高浪はまっすぐ拓人に向かってくる。
「良かったーー、生きてる!拓、オレ、めっちゃ心配したんだぞ!」
「さんきゅ、高」
親友は大袈裟に身振り手振りをする。
その様子を見て、やっぱりあれは夢だったんだなと思った。
(普通に考えて、あり得ないもんな)
夢の中ではなぜか当たり前に理解していたが、実際、あんなバカなことがあるわけがない。
(あぁ…日常に、戻れたんだな)
親友をなだめつつ、しみじみと思う。
ふと、視線を感じ、カーテンの閉まった窓に歩みよった。
カーテンを開けて目に入ったもの。
それは
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