コール音の

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平日でも学校をサボってプロ野球の観戦に連れて行かれたり、夏休みにも急に来ては、甲子園球場に高校野球を見に連れて行かれたり‥ 野球のこととなると、思い付いたら誰も止められなかった。 「だから、辞めて来て欲しいんだよ。」 「‥‥。」 なんとも答えようもない、開いた口がふさがらない。 声も出ない。 学生の頃、叔父の野球チームの試合を見に行っていたことを思い出していた。 確かに、私は野球が大好きだ。 でもそれをあまり人に話したことは無かった。 叔父だけが、それを知っている唯一と言っていいくらいの人間で‥ 子どものころは、父や母には行きたくない素振りでも、実は本気で嬉しかった。 野球少年に憧れていた時期はもちろんあるし、それでも具体的に何をしたとかそういうことはなくて、いつも少し覗く程度のファンだ。 実際野球部のマネージャーなんて忙しいだけで、ミーハー根性だけで務まるようなものじゃない。 冷静にそんな風に思って、学生時代結局グウタラな性格の私は、クラブ活動もせずに遊んでいた。 気づいたら短大くらいしか行ける学力しかなくて、やっと卒業しても大した会社に就職も出来ず‥ .
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