コール音の

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でも、それで良かった。 それなりに楽しくやってる。 恥ずかしいことなんてない。 選挙にも行ってるし、お酒も飲めるし煙草も吸える。 少なからず趣味もある。 そんな普通の、ただのOLだ。 「‥お、お断り‥します。」 「えっ?」 えって‥意外そうな声にまた驚く。 無茶なお願いをしていると本人はわかっていないのだろうか? 「智香ちゃんなら受けてくれると思ったんだが‥」 「それは‥」 一体‥ 「仕事のことなら心配しなくてもちゃんとお給料出すようにするから。」 「そういう‥問題では‥」 「手伝いが終わったらちゃんと新しい就職先は俺が責任持って斡旋するし。」 この不況になに悠長なことを‥ 「冗談‥止めてください。いくら叔父さんでも、急すぎるし‥いまいち理解が‥」 それだけなんとか言うものの、電話の向こうで叔父は笑い出した。 「なに笑って‥」 言いかけたところで、若い感じの男の子の笑い声が聞こえた。 「やっぱり、自分の言った通りですよ。いきなりすぎますよ。」 「誰かいるの?」 「ああ‥まぁ‥」 .
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