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「今日休みでしょ?」
「だから寝てるんじゃん。」
実家なんて言っても、都内に住んでいるため会おうと思えばいつでも会えるのに‥
最近はもうほとんど会ってもいない。
お正月すら帰らなかった私。
親への感謝が足りないなんて思いながら、でも会う気にはあまりなれないでいる。
急に家を出て、そのままになってしまったことを反省はしているが、その反省はあまり活かされていなかった。
「ね、今日明彦叔父さんに電話してくれる?」
「え?」
母の口からいきなり出てきた叔父の名前に、驚いて間抜けな声が出た。
「昨日の夜電話きて頼まれたのよ。」
「なんで急に‥」
「私も‥久しぶりで驚いたわ。」
用件は全く聞いていないようで、少し気まずそうな母の声。
「私の番号教えなかったの?」
少し避難めいた口調になってしまったのか母は不機嫌になり
「あの人が勝手に悪いって。そういう所はいちいち律義だから。」
教えても問題なんて無いのに。
身内じゃないか。
「なんかあなたに頼みたい事あるんだって。」
「頼み?」
叔父に頼まれるような事なんて見当もつかない。
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