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「番号言うから電話して?いいわね。」
早く私に引き継ぎたいのか、電話番号をメモさせられ、一方的に電話を切られてしまった。
しばらく呆然と、走り書きした叔父の電話番号を見つめた。
‥なんだろう。
なんたってもう5年は連絡なんて取っていない叔父だ。
最後に会った5年前を思い出すと、そわそわと心臓に鳥肌が立ったような気になった。
嫌いとか、そんなわけではなくて‥
最後に会った叔父のイメージがあまりに濃く残っていて、ちょっと怖い。
その前まではよく会っていた。
まだ彼ら一家が東京に住んでいたころ。
そして、私たち家族3人も仲良く一緒に暮らしていたころ。
考えても仕方ないと、電話番号を確認して掛ける。
1回、2回とコールする。
私はただ耳を澄ませて叔父が出るのを待っていた。
何回目かのコール音のあと、元気のいい叔父の声が電話を取った。
「はい河上です!」
間違いなく、叔父の声。
「‥叔父さん?智香です。」
一瞬息を飲んだような沈黙のあと
「あ‥え?智香ちゃん?」
「はい。」
「本当に?」
「は‥い。」
「うわぁ‥久しぶりだね。元気か?」
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