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自分で電話してこいと言いながら、新鮮な反応に少し戸惑う。
でも、それ以上に懐かしさの方が断然勝ってしまい一気にテンションが上がった。
「ええ、元気です。お久しぶりですね。‥母から聞いて‥」
「うん。」
叔父は外にいるらしく、風の音とか、歩く音がする。
その隙間からわずかに聞こえるカキィンとか、バシッとか、おそらく野球の練習中の音‥
「電話ありがとう。ごめんないきなり。」
「いえ。」
「智香ちゃんなら電話くれると思ったよ。」
優しく響く叔父の声。
懐かしい‥
子どもの頃を思い出した。
かなり久しぶりなのに、すっと溶け込んでいくような。
元気な叔父の声に、5年前で止まっていた記憶が動き出した。
あの時の叔父からすると想像出来ないくらいのはつらつとした声に、私の心はほんのり暖かくなる。
少しずつお互いの距離を測っていた。
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