小夜曲

2/2
前へ
/24ページ
次へ
「神崎にち(カンザキ ニチ)君へ、父親より…か。」 両親のいない僕へ、父親から宅配便が届いた。 その中には、日本行きの飛行機のチケットと地図が入っていた。 僕はその地図を頼りにアメリカから日本へきた。 僕は自分の戸籍とは違う土地で発見され、そのまま施設で育った。 10歳の僕でもすぐわかった。 「捨てられたんだ」 ずっとそう思っていた。 英語なんて喋れない。今や、人類は自分が生きるので精一杯。他人とは会話せず、個人行動。だから英語なんてほとんど聞かなかったし、僕はただ食事と日本語の教科書だけ渡され、個人で勉強していた。 「にち君だね」 後ろから声がかかった。僕は、自分の名前を7年ぶりに聞いた。 「あんたが僕の親??若いんだね、何歳で生んだの??」 そこにいたのは二十歳前半の男性。隣には警戒した目で僕を見つめる同い年ぐらいの髪の長い女の子。 「これから君は俺の息子だ。俺は佐竹夏彦(サタケ ナツヒコ)この子は睦月有奈(ムツキ アリナ)」 意味のわからない説明をしながら、彼は刀を持ち出した。 「なに、それ。危ないですよ、それを持って世界の敵と戦えとでも??」 「そう、当たり」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加