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私は無表情に日々を過ごした。
そんなある日、私は不思議な夢を見た。それは、夢とは思えない程リアルなものだった。
私は息をしていたし、体も自由に動かせた。
ただ、暗闇に居るようで、周りは何も見えない。私は服を着ていたが、全身が濡れていた。
どうやら、雨が降っているようだ。上方から水が降り注いでいる。
私は特に疑問を持たず、歩き出した。何も見えなくても、怖くはない。
しばらく歩くと不意に、前方に光が見えた。黄色い光。太陽の色。私はそれに吸い寄せられるように歩いた。
光は私と同じ位の大きさで、煌々と輝いていた。やがてその光体は光を失って、消えた。
私が呆然と立ち尽くしていると、すぐ後ろから聞き覚えのあるしわがれた声が私の名前を呼んだ。
振り返るとそこに、父が居た。
死ぬ直前まで頑固に着ていた家着姿の父が。
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