父と

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 ――目が覚めて、私は自分が夢を見ていたことに気が付いた。  涙の痕が、頬に残っていた。  父は、死んだ。もう、会うことはない。  本当にそうだろうか。本当にもう父と会えないのだろうか。  いや、そんなことはない。父はいつだって私の隣に居てくれる。私を見守ってくれる。  夢に見た父は、いつも通り大きな声で笑った。笑って、私を安心させてくれた。  私は、何だか不思議な、素敵な気持ちになった。夢に父が出てきた。それだけで前を向けた。  これからも、夢にもちょくちょく顔を出して欲しくなった。  また、あの笑い声が聞きたい。また、会いたい。  ――お父さん、私を生んでくれてありがとう。  育ててくれてありがとう。  笑ってくれてありがとう。  泣いてくれてありがとう。  今まで生きててくれてありがとう。  ……愛してくれて、ありがとう。
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