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それから10分後、通報を聞き付けた恵美の両親がやってきた。
恵美・母「英司君、恵美は…恵美は大丈夫なの?」
恵美の母親は心配そうに英司に聞いた。
英司「………」
英司は口を開こうとしない。それどころか二人の方を見向きもせず、床をじっと見つめている。
英司は明るくて必ず笑顔で挨拶をし、恵美の両親には礼儀正しい子と好印象を持たれていた。
それが恵美の両親の声にも答えず、目も合わさない、いつもの英司とはまったくの別人のようになってしまっている姿を見て、恵美の母親は思わず涙をこぼした。
恵美・父「母さん、恵美はきっと助かる」
そんな姿を見た父親は励まさざるを得なかった。
英司「すいません、俺がついていながら……」
英司の声は虫の息が聞こえるぐらい小さな声だったが、恵美の両親にはちゃんと届いていた。
恵美・父「警察の方から話は聞いている。英司君のせいなんて思っていないさ。」
恵美の父親は英司の肩に優しく手を置いてなでた。
恵美の母親は涙が溢れ出していて、とても話ができる状態ではない。そんな母親の肩にも父親は優しく手を置いた。
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