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信号が青に変わると同時に恵美は、駆け足で横断歩道を渡る。
英司「こけんなよぉ」
その時、曲がり角から一台の現金輸送車が飛び出し、横断歩道を渡る恵美に向かってきた。
英司が気付いた時にはもう遅く、恵美は飛び出した現金輸送車に跳ね飛ばされていた。
英司「恵美!」
英司が恵美に駆け寄り抱き起こした。
頭から流れる血で恵美の顔は真っ赤に染まっていた。現金輸送車はクラクションを鳴らすことも、ブレーキを踏むこともなく、恵美を跳ねた後も何事もなかったように走り去っていった。
英司「恵美、恵美!」
恵美「……」
英司の必死の呼びかけに恵美は答えなかった。
二人の回りにぞろぞろと人が集まってきた。
大丈夫かと声をかける者、携帯電話で救急車を呼ぶ者、恵美の額にハンカチを当てる者……
英司は彼等の行動には一切見向きをせず、恵美に向かって必死に叫んでいた。
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