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「奈津子、何ぼけっとしてんだ!学校に行くぞ。みんなより早く行かないと示しがつかない」
私はハッとした。
「ごめんなさい」
──過去を思い出してた。
私達は校庭へと急いだ。数分後、校門の前で健太朗と肩を並べ、みんなを待った。
不安で仕方がない私は健太朗の手を握った。
すると健太朗は真っ直ぐな目、一点の汚れもない美しい魂が宿っているような目をして、握り返してくれた。
握り返してきた手は、不安を和らげ、安心しろ。みんなを信じろ、そう告げてきているようだった。
私は下を向いて泣いた。健太朗の目を見ることが出来なかった。
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