259941人が本棚に入れています
本棚に追加
1人でいいのに、どうしてあなたは健太朗まで殺そうとするの。大切な人を奪おうとする。
嫌い、敵、仇、邪魔者、憎い。
そう考えていると剛志は健太朗を離れ、突然私に荒波にように押し寄せてくる。
尻餅をついてる私の背後に回り込み、首に左腕を回し、喉仏にバタフライナイフを突き付けた。
「殺した瞬間、ちょっとした快感だったぜ。これからのそいつ人生を俺が全て奪ってやったってな!!」
健太朗は血の混ざった唾を吐き、腕を付いてゆっくり立ち上がった。
「どうしたんだ、剛志……1人殺したんならもういいだろ。こんな状況だ、誰もお前を咎めたりしないさぁ。だから、もう……」
「一度、覚えた快感は忘れられないんだよ!お前の大好きな奈津子を目の前で捌いてやろうか?男よりも女の方が殺しがいがあるからなぁ!泣き叫ぶ悲鳴は最高だったぞ」
私は震えた。バタフライナイフの先端に視線を向けた。
剛志は叫んだ。
「あぁそうだそうだ、殺した女ってのは杏のことだよ!互いが素っ裸になって一緒の布団にいるとき殺してやったよ!あいつここに来てないだろ。来れるわけがないんだ。素っ裸で道端で寝てるよ。
殺した瞬間の表情と血の温もりは今も忘れられねぇ!杏の奴、顔は不細工なのに内臓は綺麗だった。奈津子の内臓は綺麗かここで確かめてやろうか?杏より可愛いからめちゃくちゃ綺麗かもな!」
健太朗は下を向いて言った。悔し泣きしていた。
「どうしちまったんだよ……」
「いかれたら悪いのか!普通なぁこんな状況だったら誰もがいかれるんだよ!」
私はこの時、剛志の言葉に違和感を感じた。
最初のコメントを投稿しよう!