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剛志は飛び掛かってくる健太朗をかわした。
四つん這いになる健太朗。
「迷いがあるから動きが鈍いんだよ。狂った俺を止めることに躊躇すんな。迷いを捨てろ、もし俺が本気なら……」と剛志は囁いた。
脇固めだ。
剛志は健太朗の背後に回り込み右腕を上空へと押し上げ、肘を制し、健太朗の右手に無理やりバタフライナイフを持たせた。
剛志はバタフライナイフが握られてる健太朗の手を上から握り、その手を動かし、自分の首を掻き切り──自分の心臓を突き刺した。
そして健太朗を解放した。一瞬の出来事だった。
首から流れる血が襟元を赤く染め、胸元が赤くじんわりと滲む。
バタフライナイフが心臓に突き刺さった状態で剛志は言った。
最後の力を振り絞ったのだろう。
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