触れてはならないもの

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「あそこにいるよ!」 男の子が指差した先には、真っ白な体操服に、赤いアンカータスキを掛け校内を走り回っている女の子がいた。 真珠色の肌に、パッチリ二重の真ん丸な目、薄いピンク色の唇。 髪型はミディアムヘアー。 それは間違いなく奈津子の容姿だった。 私は地面から現れた数百匹の地を這う虫がつま先、太股、背中、首筋、頭と這ってくる感覚に襲われる。 体中に纏わり付く虫。 私は現実を目の当たりにして言葉を失った。が、足は自然と奈津子に向かって進んでいた。 会わなくちゃ。 「君達、ここの生徒じゃないだろ!入ったらダメだ」 突然姿を現した男の先生に私は腕を捕まれた。 「離して……お願いだから本多奈津子と話をさせて!色々と聞きたいの」 「本多奈津子?うちの学校にそんな生徒はいない」
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