蒼き宮殿

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 聖霊の話を聞いたベネットは、気が抜けてしまったのかその場で膝をつく。しかし、死ぬ覚悟でいた青年は、未だに何が起きたか分からないといった様子で固まっていた。 「それに、男。ファンゼの力を手に入れているのなら、もう分かっただろう」  そのような状況の中、聖霊だけは気丈に言葉を連ねていく。この時、尚も微動だにしない青年を見たベネットは、ゆっくり立ち上がると彼の方に歩み寄っていった。  そして、彼女は首の前で止まっている仲間の手を掴むと、そのまま腰の高さまで下ろす。 「全ては終わった。早く目を覚ませ」  強い口調で言い放つと、べネットは青年の目をしっかりと見た。すると、虚ろだった瞳は焦点を取り戻し、そのまま自らを現実世界へ引き戻した者を見やる。
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