蒼き宮殿

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「秘められた力を持ちながら、守られているとは愉快な話だ」  そう言うと、聖霊は部屋中に響く様な声で笑い始める。 「用は済んだのであろう? 下らぬ事で時間を取っていないで早く帰れ」  聖霊が艶笑しながら右手を振ると、氷上に紫光を放つ陣が現れた。そして、その陣の放つ光が薄い紫色から白色に近い黄色へと変わった時、聖霊以外の三人が陣へ引き寄せられていく。 「せめてもの情けだ。町の近くに転送してやろう」  聖霊が嘲笑しながら言い放つと、途端に三人は陣に吸い込まれてしまう。 「さらばだ。選ばれし者達よ」  誰も居なくなった部屋で呟くと、聖霊は静かに微笑を浮かべる。この時、陣は光を失い、聖霊も昇華する様に消えていった。 ――続く――
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