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明日からも当たり前のようにみんなと会うのに、俺はどう接すればいいのか分からない。 愛がいるから、と辛い思いをするのを分かっていながら、勇気を出して告白してきた立藤、俺を信じてくれる愛。 どうすればいい?こんなテキトウな気持ちで立藤にちゃんと返事は出来ない。 愛とも一緒にいれない。 前に進めない。 昔の自分のようだ、立ち止まって一歩を踏み出す勇気が無い故に苦しみ、自分自身を傷つけ、他人を信じることが出来ない。 そんな俺を救ってくれたひかりはもういない。 ひかりがいたら、今の俺を見てどう思うだろう……。 情けない、頼りない、最低。 本当にそうか? ひかりはそんなこと言うやつだったか? あいつなら、多分俺の背中を押してくれたんじゃないのか? 『親から良い名前もらってんじゃん、自分の名前に恥じない生き方をしなよ』 ひかりのこの言葉が中学生時代の俺を変えた。 『立ち止まったらダメ、進むの、前に、一歩前に進みなさいよ、そうすれば180度世界が変わって見えるから……私を信じて……進』 いつでも俺のそばで励ましてくれたひかりが俺にそう言ってくれた。そして今、ひかりが、またその言葉を俺に思い出させてくれた。
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