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立藤の過去の苦しみが少なからず俺には理解できることが、立藤を傷つけることを拒む。 立藤は、今、救いを必要としている、俺にとって拓斗やひかりがそうだったように、愛や他の仲間がいるように、自分を認め合える仲間が必要なんだ。 それなのに、どうして傷つけることでしか道が残されていない? 理解し合えるような道が残されていないんだ? 立藤も同じ仲間なのに、なぜ、解り合えない? 何となく、この世にある一種の暗黙のルールというやつを立藤は破ってしまったんだと思った。 だって、たとえ自分が好きな人でも、その人が誰かと付き合っているなら諦めるのが当然じゃないの? そうでなければ、バランスがとれない。傷つけ合うような関係にしかならない。 だけど俺は……立藤を傷つけたくない。
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