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気が重いまま予備校に行って、頭むしゃくしゃなまま授業うけた。 隣には不自然なほどいつも通りな立藤がいて、つい忘れかけそうになる、ややこしいことなんて何一つなくて、これからもこんな風に立藤とも傷つけることなく笑い合えるんじゃないかって……。 それでも授業が終わりに近づくにつれて、ちゃんと話さないとって思う度に胸が苦しくなる。 偽善者ぶってるとか、自惚れてるとかじゃない。 好きな人に告白して、普通に振られるのではなく、諦めてくれと言われるのは、凄く悲しいことだ。 それは、振られた後の自分の気持ちも否定されたことになる。 勝手に好きでいることも否定されてしまう。 けど、立藤は愛に俺を諦めないと言った。 違う。 だからこそ……そう言ったんだ。 本気で本気だからこそ。 誰かと争ってでも欲しいと思うんだ。
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