序章

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『人々が眠る頃、妖が活動を始める……』 あたしは、読んでいた本を閉じた。 時刻は深夜一時を過ぎている。 部屋は静まり返っていて、そう広くもない室内はベッドの脇にある窓からの、少し肌寒い風が通り抜けていく。 家具といえる物は、ベッドと机に置かれたパソコン。 ……後は全てクローゼットに収納されている為に、見た目にはシンプルだが床には若草色のカーペットと窓にも同系色のカーテンのお陰で、不思議と落ち着いた雰囲気になっている。 あたしは机に向かって座った状態から、横に置いてある鞄を引き寄せて一枚の紙を取り出し、最初の項目に目を通した。 【第十回 秋の小説大賞     大募集  募集作品  ファンタジックなストーリー。 ただし未発表のものに限る。】
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