序章

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同じ頃、同じ屋敷にいるにも関わらず 先程の男とは似ても似つかぬ深刻な顔をした青年がふたり、密談中。 『兄上…先程、星が動いたのを御覧になりましたか?』 『ああ、新たな星が生まれた。……胸騒ぎがするな』 『私もです、兄上。まさかと思いますが、父上が何か関わっているのでは?』 『有り得るな。吉昌、暫くは定時刻には帰宅するよう心掛けよう』 『はい。父上が何か仕出かさないように気をつけましょう』 この兄弟、姓を安倍 兄の名を吉平(よしひら)といい 弟の名を吉昌(よしまさ)という。 安倍と姓を名乗るふたりの父は 言わずもがな 稀代の陰陽師 安倍晴明である。 その息子である、ふたりも同じ道を歩むべく日々、陰陽師として学んでいる。
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