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一方、時を同じくして冥府へと続く道を歩いていた青年は
途中、使いの鬼より至急の呼び出しを受け閻魔王の許へ向かっていた。
中へ入ると中央には、青年の背丈よりも大きな机と、それに見合う大柄な男が頭を抱え込んだまま座っていた。
『お呼びとの事ですが、閻魔王』
閻魔王と呼ばれた大柄な男は顔を上げると
『高臣(たかおみ)か、実は早急に調べて貰いたい事がある』
『はい、何でしょう』
『この閻魔帳に突如として表れた葉月(はづき)という者を調べてくれ』
『葉月……ですか?姓は?』
『……無い』
『まさか!?それでは……』
『とっと行って調べて来い!』
閻魔王は、高臣の言葉を遮りその場からも追い出した。
閻魔王は溜め息をひとつ吐くと、何事もなかったかのように机の上に束ねてある閻魔帳に再び目を通し始めた。
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