出逢い

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私はマサを頭に描いた。 マサ…私の好みである、黒髪、短髪、そしてあの声。 声なんて大して違いは無いと思っていた。 けど、確かに私は、マサの声に惹かれていた。 「…声は好き」 「声、ねぇ…。まぁ好きな所は人それぞれだろうな」 コウちゃんはクスッと笑った。 「じゃぁ少なくとも嫌いではないんだな。ならもっと知ろうとしてみたら?」 「知る?…ね」 「うん。案外いいやつかもだし、わからないよ、ほんとに喋ったり接してみないと」 コウちゃんは微笑んだ。 黒ぶち眼鏡の奥は優しさがあった。 「ん~…難しい」 「沙代は人見知りだからな」 優しく微笑むコウちゃん。 今日はいつにもまして温かかった。 そして少し淋しそうにも見える。
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