出逢い

35/41
前へ
/108ページ
次へ
私はドアを開け部屋へ入った。 相変わらず綺麗な部屋。 カーテンやベッドカバーは、 青と黒と白で統一されている。 すぐ目に入る本棚には沢山の本。 コウちゃんは観ていないテレビを点けたまま本を読んでいた。 好きな、探偵モノ。 今はアガサ・クリスティだ。 私はベッドに上がり、壁にもたれているコウちゃんの横に並んだ。 肩に頭を乗せて、私も小説を覗き込む。 「…どうしたの?」 「どうもしないよ?」 笑いながらコウちゃんは私へ顔を向けた。 「嘘つけ。そうやって甘えてくる時は淋しい時がほとんどだよ」 お見通しか。 まぁそれもあるけど、今はほとんど胸がモヤモヤしてる感じ。 これは、何? 「沙代。どうした?」 コウちゃんは少し離れ、私の顔がよく見えるように体の向きを変えた。 今度はちゃんと本に栞を挟み、ベッドサイドのテーブルに置く。 「メール送ったんだけど返事がない」
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!

123人が本棚に入れています
本棚に追加