123人が本棚に入れています
本棚に追加
出逢ったあの日は鮮明に覚えてる。
親戚連中の冷たい顔、眼差しに黙る事しか出来なかった幼い私。
向けられる言葉は冷たいものにしか感じなかった。
強くなれ、強くなれ、と。
あの日から毎日泣いていた。
誰とも喋らず、学校も行けず。
そして、涙を流しても何も変わらないと気づいてしまった。
我ながら可愛くない。
親戚が囲んでいたテーブルの一番遠い席から声を張り上げた人がいた。
有無を言わせない、凛と響く声だった。
「沙代は自分が面倒みます」
全員の目がそちらに向いた。
唖然としながら。
もちろん私も見た。
何度か顔を見かけた事はあったが、話した事はなかった。
ただ、目が合う度に優しい眼差しを向けられた事はよく覚えていた。
最初のコメントを投稿しよう!