出逢い

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名前も知らない、笑った顔が親を思い出さずにはいられない、優しい優しい雰囲気を持つ人。 「まだ社会人として未熟なのはわかっています。けど以前から考え、そして決心しました。自分が沙代と暮らします」 親戚同士押し付けあっていたクセに、戸惑いや反対をでかい声でその人に向けた。 その人は真剣な眼差しで、それから口は一切開かなかった。 私は祈るような気持ちで見た。 お願い、私この人と暮らしたい。 もう遠慮しながらご飯を食べたりお風呂に入ったりなんて嫌。 布団の中で泣きながら、両親を思って泣いたり、 明日が来ないように願ったりなんて嫌! 話した事もない人に、私は不思議と親近感を感じていた。
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