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「いえ、いいんです…ちょっとしか遊べなかったし」
悲しげな顔がせつない…。
ほんとごめん…。
「覚えてなくても、仕方、ないです」
「いや、でも瑠宇は覚えててくれたんだよね…ごめんな」
瑠宇は泣きそうにも見えたが、やがて穏やかに微笑んだ。
しかし…。
瑠宇と小学校が一緒…?
当時の記憶を辿ってみる。
予想通り、嫌な思い出さえ同時に蘇り、胸が痛いのを即座に感じてしまった。
チクンと疼く傷は、しかし前よりも和らいでいる。
それはもちろんコウちゃんのおかげなのだ…。
「沙代さん?」
はっとすると瑠宇がきょとんとした顔で私を見ていた。
「あ、悪い。ぼっとしてた」
「ううん。いいですよ。ただどうしたのかと思って」
微笑む瑠宇。
私はどうやって笑っていたのか。
顔が凍りつくじゃないけど、なんか笑顔を作らないと固まってしまった気がした。
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