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「明日から三年生かぁ……」
僕は勉強机の上にあるテキストの問題を解く手を止めて呟いた。
特に意味などない。机上のテキストの問題を解けても特に意味などない。テストでいい点を取ったところで意味などない。
なんて言うのは出来ない奴の言い訳でしかない。そのことを僕は理解してはいるが、逃げるための言い訳、そう言い訳を並べて勉強する手を止める。
「何かおかしなことでも起きないかなぁ……」
白い天井を見上げて呟く。最近ハマっているアニメの影響か、このわけのわからない数学の問題と1時間以上も格闘した副産物か、とにかく非日常にあこがれてしまっていた。あこがれてしまう。そんなもの、そんなこと、あるはずないのに。
「ある日、美少女にとんでもない事実を伝えられる。『あなたは世界を救うための唯一の希望なの!』とかなんとか新学期にいきなり言われるなんてことはあるわけないよなぁ――あぁ、何やってんだろ僕……」
溜め息が口から洩れる。春休み中だけで軽く百回は数えたであろう。
僕はシャーペンを机の上に投げ捨てて、ベッドに飛び込んだ。
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