0号室

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 これは俺が大学三年の時の話。  夏休みも間近に迫り、真夏日が続き始めた頃、大学の仲間五人で海に旅行に行こう、と突拍子無く計画を立てたのである。  計画段階で仲間の一人が『どうせなら海でバイトしないか』と言い出して、俺も夏休みの予定なんて特になかった為、二つ返事でオーケーを出した。  だがその内の二人は何やらゼミの合宿があるらしいとかで、バイトの件は必然的に水の泡。  結局、五人の中の三人が海でバイトする事になり、残り二人は旅行として俺達の働く旅館に泊まりに来れば良いべ、と言う話になった。  そうして、先ずは肝心の働き場所を見つけるべく三人で手分けして色々探し回り始める。  ネットで探しはしたものの、結構募集しているもので、友達同士歓迎と言った文字も多かった。  俺達はそこから迷いながらも一つの旅館を選択する。  無論、ナンパの名所と呼ばれる海の近く。そこに抜かりはない。  早速電話でバイトの申し込みをした訳だが、それはもうトントン拍子に話は進み、途中で友達と二日間くらい合流したいという申し出も、『その分、いっぱい働いて貰うわよ』と言う女将さんの一言で難なく決まった。  そんなこんなで計画も大筋決まると、テンションの上がった俺達はそのまま何故か健康ランドへ直行する。その後友達の住むアパートに集まって、風呂上りの健康的な顔でナンパ成功時の行動などを綿密に打ち合わせた。  そして、遂に仲間内である、自分を含む三人が旅館へと旅立つ日がやってきた。  初めてのリゾートバイトである訳で、緊張と期待で結構わくわくしている僕的な俺が居るのは言うまでもない。  
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