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「ふう…」
アーサーは、居酒屋で酔って寝てしまった菊をおぶっていた。
放置するわけにもいかなかったし、なによりが寝ていながらも顔がほんのりと赤く、酷く艶やかだったからだ。
つまり、自分の大事な人を他の奴に犯されてしまうのでは、という心配もあったのだ。
「やっと着いた…。全く…世話の焼ける。」
そう呟くと、菊の軍服のポケットから鍵を取り出し、鍵を開け中に入った。
扉を閉め、部屋の電気をつける。
そして、ゆっくりと畳の敷かれた床に座布団を枕代わりにして寝かせた。
「…じゃあ、俺は帰るか…。」
その時だった。
アーサーの腕が引っ張られる。
「…え?」
アーサーが菊に目をやると、未だ顔は赤く、目も焦点が合っていないようだった。
なによりも、酷く色気を醸し出していた。
「菊…?」
「アーサーさん…なんれ…帰ろうとするんれすかっ…」
ふと零れた言葉は、うまく舌が回っていなかった。
「私…っ…寂しいのれす…。アーサーさんが離れていくのが…」
「おい、菊!?」
アーサーが軽く菊を抱き寄せる。
「ふあっ」
菊は赤い顔を更に赤くした。
そして、アーサーに身体を預ける。
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