さくらさくら、いざ舞い落ちん

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「此処まで言ってもまだ集めるのですか?」 菊は妖夢と対峙していた。 最も、妖夢が春を集めているという話を聞いたからなのだが… 「…貴女はこの世界に異変を起こそうとしています。その命令の通りに動けば、私の国には春が来ることは無くなります。…桜を愛する私にとって、決して許されることではありません。」 「私の主人は幽々子様ただ一人です。日本さんに何を言われようがこの信念は曲げません。」 妖夢は頑として引き下がらない。 「私に手荒な真似をさせるつもりですか?」 菊は日本刀を妖夢に向ける。 その途端に妖夢の身体に恐怖が走る。 「少し力を入れれば、こんな細い腕など一瞬で落とせるんですよ?」 菊の表情が黒いものに変わる。 妖夢は白楼剣で自分の迷いを絶った後、二本の剣を構えた。 そして、スペルカードを詠唱した。 辺りに弾幕が広がる。 菊は直ぐに下がって弾幕を避ける。 「危ないですね。いきなり弾幕を撃たないでくださいよ。」 それでも菊は一度も被弾せずに避けていく。 (やはり…イージーレベルのスペルカードだからなのか…それとも…) 「隙あり!!」 「くっ!!」 いつの間に近づかれたのだろうか。妖夢は菊の斬撃を剣で何とか防いだ。 「やはり簡単には斬らせてくれませんか。」 「…っ当たり前です!!」 いつの間にかスペルカードの効果時間が切れていた。 妖夢は再びカードを構える。 「…待ってください。」 菊が静かに妖夢を制した。 「何故ですか。今更命乞いなど通用しませんよ。」 妖夢は迷いの無い真っすぐな瞳で菊を精一杯睨み付けた。 「真剣勝負…といきませんか?見ての通り、私は弾幕を撃てません。このまま戦いを続けるのなら確実に貴女が有利になってしまいます。」 「…解りました。その勝負…受けて立ちます!!」 妖夢はスペルカードを仕舞い、剣を持ち直した。 緊張した空気が立ち込める。 ザアッ―― どこかで木々が風に揺られた音がした。 二人はその音を合図に地を蹴り、同時に飛び出した。
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