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―――
「妖夢さん…大丈夫ですか?」
「大丈夫に見えますか…?」
真剣勝負は、接戦の末菊の勝利に終わった。
「…よかった…生きてはいますね。」
「人を思いきり斬っておいてそれは無いんじゃありませんか?」
妖夢はゆっくり立ち上がる。
「…私を…恨みますか?」
「いいえ…」
軽く首を横に振る。
「日本さんも私も、自分の信念を通していました。日本さんは国として春を取り戻す為に…私は主人の願いを叶える為に…」
少し俯いてから妖夢は更に続けた。
「今の戦いはそれが激突しただけ…。私は日本さんと本気で剣が交えて本当に良かったです。」
「妖夢さん…」
「日本さんにだけ、今回の目的を話しますね。私の主人…西行寺幽々子様の屋敷〝白玉楼〟には、咲く事を忘れた桜があります。」
「それを咲かせるために春を集めていたのですか?」
「その通りです。」
瞳を閉じて頷く。
「後少しで満開になるのですよ。そこに日本さんが来て、春を頂こうとしたら返り討ちに合いました。私もまだまだですね。」
妖夢は階段の上の方を指差した。
「先に進むのならどうぞ。結局のところ…白玉楼にある春を回収しなければ、春は来ないでしょう…。」
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