谷底

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それから半年。 黒頭巾ちゃん達が考えていたより長くおばあさんの一人の生活はもっています。 しかし案の定愚痴が始まりました。 「景色に飽きた…案外暇なんだね」 そりゃそうです。 家は変われど森は森。 景色なんて早々変わるもんじゃありません。 それからです。 おばあさんは常に新しい景色を求めて引っ越しを始めたのは。 一人暮らし二年目四度目の引っ越しで引っ越してきたのは海辺でした。 黒頭巾ちゃんの家から100kmは離れています。 車で二時間はかかります。 しかし黒頭巾ちゃんもお母さんも車の免許を取っていなかったので、伝書鳩で、 『風邪をこじらせた。見舞いに来たれ』 と来た時、 「「出来ねぇよ」」 と、一蹴して終わりました。 それに懲りたのでしょう。 その一ヶ月後、また徒歩一時間圏内の場所に引っ越ししました。
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