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ここはとある公立の高校。
一般の公立高校よりも広いグランドには人の影も全く見えずにギラギラと照りつける夏の日差しがグラウンドの土を焦がしていた。
校内の廊下にも誰の姿も見えずにいつもの賑わいとは打って変わって静寂だけがその場を包んでいた。
廊下に面しているクラスの中も話し声も無く皆机の上のプリントを見てカリカリとシャーペンを動かしている。
ある者はプリントとにらめっこをしている、またある者は頭を抱えて小さく唸り声を上げていた。
そんなクラスの中にいる担当の教諭は皆の姿を一度見回してから腕時計に視線をを落とした。
そして時間を確認してから腕時計から目を離すと、
キーンコーンカーンコーン
テストの終わりを知らせるチャイムが鳴った。
「そこまでっ!!皆手を膝の上に置けー、それと後ろから順にプリントを集めてくれ」
先生からテストの終了が告げられると一気にクラスが賑やかになった。
そんな中、中肉中背黒髪黒目と至って普通の高校生の田中啓太(たなかけいた)は机に勢い良くつっぷした。
「終わった…。この世には神も仏もいないのか?」
啓太はげんなりした様子で隣の席に座る上背もあり茶髪の親友山城直樹(やましろなおき)に話しかけた。「なあ直樹はテストどうだった?」
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