―第一章 臆病な私―

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そこで言葉を区切り、私は彼の言葉も待たずにすべてを話す。 「先月急に、お父さんの仕事の都合でアメリカに行くことが決まって……でも私は当然、ここに居たいっていったんだよ!? でも……家族は一緒じゃなきゃ、とか私はまだ子供だから、ってお父さんとお母さんが……」 すべてを彼に告げた私は、もう一度先程の質問を繰り返す。 「ねぇ、繋がっているよね……?」 私は言い終え、彼を見つめ、彼の口が開かれるのを待った。溢れ出しそうな涙を必死に堪えながら……彼の言葉を待った。 けれど、彼は何も言ってくれない。石のように堅く閉じられた彼の唇。 無意識のうちに私の手が震えてくる。どうして何も言ってくれないのか、私にはわからなかった。
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