―第一章 臆病な私―

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不安で、不安で堪らなかった……。 彼に一言「繋がっているよ」と言ってもらえるだけでも、私の小さな心は満たされていたと思う。けれど、彼は俯き、私と目を合わそうともしてくれない。 そんな彼に、私は最後の勇気を振り絞って……今にも頬を伝わってきそうな涙、震える手、震える唇を叱咤し……訊く。 「何か言って……よ」 けれど、私のそんな最後の勇気も実をつけることなく……。 散っていった――。 今まで我慢していた涙は……堰が崩れ決壊したかのように……。 心を縛り付けていた鎖は……音をたてて、引きちぎれ……。 希望の星の彼は、最後まで私を照らしてはくれなかった――。
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