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お父さんが搭乗手続きをしている。私はその姿をお母さんと後ろから眺めながら、来るはずもない彼をどこか心の隅のほうで、待っていた――。
「行こうか、そろそろ搭乗しないと」
「……うん」
私たち親子は、進む。搭乗ゲートへと。
けれど……誰かが私の名前を呼んでいる。振り返らなきゃ……足を止めなきゃ……。
きっとこれが、彼との最後になるから――。
足を止め、振り返ると、そこには大好きな彼が。思わず彼の名前を呼んでしまう。
「僕、渡部太一は、」
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