―第一章 臆病な私―

14/16
前へ
/31ページ
次へ
お父さんが搭乗手続きをしている。私はその姿をお母さんと後ろから眺めながら、来るはずもない彼をどこか心の隅のほうで、待っていた――。 「行こうか、そろそろ搭乗しないと」 「……うん」 私たち親子は、進む。搭乗ゲートへと。 けれど……誰かが私の名前を呼んでいる。振り返らなきゃ……足を止めなきゃ……。 きっとこれが、彼との最後になるから――。 足を止め、振り返ると、そこには大好きな彼が。思わず彼の名前を呼んでしまう。 「僕、渡部太一は、」
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加