―第一章 臆病な私―

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初めて彼に出会ったのは、小学四年生の時だった。 いつものように重いランドセルを背負って学校に辿り着いた私は、自分の靴箱をまだ学年が変わって間もないので、視線と人差し指をネーム欄に這わせるようにして探していた。 すり足で横へ、横へと移動していた私の視線と人差し指が止まる。靴箱には私の名前が。 最初探していた場所からはかなり移動してしまったけれど、なんとか見つけ出すことが出来た。 私は安堵の溜め息をつき、学年が変わる毎に靴箱を移動するのをやめて欲しいな、などと考えながら『門田奈緒』と書かれている靴箱を開けた。 「あれ……? ない……?」
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