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キーンコーンカーンコーン――
。
彼と初めて出会ったことを想い出していると、不意にチャイムの音が耳に届き、私は“想い出”から“現実”へと戻った。
何時を告げるチャイムだったのだろう、と思い、私は教室に掛けられている古ぼけた時計に目をやる。
時針が三、分針が八、をそれぞれ刺していた。
「あっ……」
私は辺りを見回した。けれど、教室には誰も居ない。
当然のことだった。今日は六時間授業。先程鳴ったチャイムは七時間目を告げるチャイム。クラスメイトはとっくに下校していることだろう。
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