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クリス(えっと…エドワード教頭の部屋は確かここら辺のはずなんだけど…。あれ…?校長室が開けっ放しだな…)
クリスが校長室を覗く。
そこには、先ほどのひとつ縛りの髪の青年と、歳衰えた老人が座って会談をしていた。
老人の姿は、見るに耐えないほどのシワが顔に刻まれている。頭には黒く尖った帽子を被っていて、ヘソまで伸びたヒゲを生やしていた。
クリス(ロバート校長に…誰だあれ?制服の肩の星の数を見ると…同じ学年みたいだが…)
ロバート「ええっと…ハルバラの田舎街出身のダン・ギルバート君ね。学歴も何も無し。普通の一般人だね」
???「まあ、そうなりますかね一応」
ロバート「ところで、本名は?」
???「やだなロバート校長。本名はダン・ギルバート…」
ロバート「自分の名前のクセに、発音し慣れてないね。それに、ハルバラの田舎街出身というワケが無い。アソコは魔力には無縁すぎる。しかも、魔眼封じの魔術のメガネ。怪しさ満点じゃな」
ロバートが立ち上がり、青年に歩み寄りヒゲをいじりながら近付く。
ロバート「それに…ワシはまだ自己紹介をしとらんはずじゃが?」
???「あちゃあ…。やっぱり、バレましたか。確かに全部嘘です。出身国は和の国、名前はダンテ、コレも魔術のメガネです」
ロバートは閉じていた瞼を開く。
灰色の眼が不気味に光る。
クリス(『アスカル』の魔眼…!?やべぇ…!とんでもねぇ魔眼持ってるじゃねぇかよ校長っ…!)
ロバート「おかしいのぉ。余計に魔力とは無縁の地の名が出てきてしまった。お主、何者じゃ?」
ダンテ「どうかお気になさらず。ちゃんと、届けには印鑑がしてあるでしょ?」
ロバート「ワシはな、『剣帝衆』が嫌いなんじゃよ少年。あのような印鑑くらい無かったことに…」
ダンテがメガネを外し、ロバートを睨む。
ダンテ「老いぼれが…めんどくせぇんだよ。さっさと、了承しやがれクソジジイ」
ロバートはダンテの眼を見た瞬間、体が膠着してしまう。
ダンテ「はいと言え。俺をこの学園の生徒にするとな」
ロバート「は…い…」
クリス(う…嘘だろ…!?校長先生を幻術で抑え込んだ…!?人間じゃねぇ…!と…ともかく…)
ダンテはクリスの方に振り向く。
クリスとダンテは目が合う。
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